「“似てるなぁ”って思ってたのかもな。」

「だって本人じゃん。」

「…母親とアメリカから帰る時
“男なんだからママを頼むぞ”って親父に言われて、俺、女は弱いもんなんだって思ってたんだ。だから、男に混ざって遊ぶあの人に驚いてさぁ…“こんなヤツもいるんだぁ”って!足も速くて、山猿みたいだったんだぜ!いつからか女の子と遊ぶようになったその子のことを、なんか、気になるようになっててさ…」

「フフフ。かわいい!」

「波多野もずっとあいつらと?」

「そーだよ。あと茜ちゃんも。」

「碧人の妹?」

「あたしは運動音痴だったし、皆が野球する時、碧人は仲間外れだったから、茜ちゃんと三人で遊ぶことが多かったなぁ。」

「だから妹は、碧人のことヘナチョコって言ったのか!」

「あはは。親に止められてたからね。」

「サッカーやってたって。」

「まあまあサマになってたんだよ!ホントは運動神経良いから、モテててたし!」

「…そーなんだ。」


その時、徳幸は思った。


これだけいつも一緒に居て、
どうして波多野は、
この中の誰ともつきあわないのかと…