夏休み中も、暇さえ合えば、小出家へと出かける徳幸。


秋には文化祭があるし、
それまでに、完璧なものを!と、
その目標を糧に、練習するつもりではいるのだが

波多野と光一は
吹奏学部の、ジャズ部門の練習に余念がなく、

暑さと気怠さも手伝って、ただ、たむろってるだけと言った状況だった。


そんな時間が、
波多野との気まずさを忘れさせてもくれた。


(弟さんの件に触れなければ良いんだ!甲子園が終わるのもあと少し!夏休みが終わるのも、あと少しかぁ。ヤッベ!宿題やってねーや!)


いつしか小出家は、宿題合宿所となっていた。


男四人が宿題に追われている横で、
コルネットと言う金管楽器の練習をしている波多野に、
神戸が言った。

「なぁ、波多野!防音室さまさまだなぁ、ソレ。」


そして、光一が続ける。

「ばっか、だいぶ良くなったんだよ!あ、聞き慣れただけか?」


すると、波多野も負けずに反撃にかかる。


「音楽室の時と違って、随分態度がデカイんじゃないの!光一くーん!」

「はい、スイマセン!」

「大変だな、光一も。」

「ホント、よくやるよ!」

「だって、光一は」

「あ〜〜!!!」

「んだよ!うるせーな!」

突然、大声をあげる光一に、ブーイングの皆だったが…