「はしゃぎ過ぎだよ!」


すると碧人は、犬のように頭を振って、水しぶきをあててきた。


「ばっ!やめろ!」


コービーも一緒になってふざけはじめる。


「こぼれるって!」

「じゃあ、金貸して!買ってくる。」

「じゃあってなんだよ!意味わかんねーし…ほら、早く行きやがれっ!」


波多野は、そんな様子を見て、いつものように笑っている。


光一の話も、途中だった気がしたが、
何も聞かなかったかのように、
普段と変わらぬように努める、徳幸だった。


でも、なんとなく波多野に近づきにくく、
口数も減ってしまっていた。


波多野は、何故か分からないまま、
様子のおかしい徳幸に気付き、なにかと話かける。


そして、必死に普通を装う徳幸は、
やっと帰ることになって、ホッとしていた。


「あのさ、俺、ばあちゃんに会って行こうかと思って…」


勝手に、ひとりで感じている、この気まずさから抜け出す口実を、
ずっと考えていた徳幸。


「そうだよね!ごめんね、気が利かなくて!うちらは勝手に帰るから、早く会いに行ってあげて!」


(べつに、波多野が謝ることじゃないよ…)と、

自分の態度を反省し、

「いいよ!同じとこまで一緒に行くよ!」

と、慌てて言い返した。