「東京でなまらないように、マジ気をつけてた。」

「だろ?負けず嫌いだもんなぁ。」

「…うん。だから連絡しなかったんだ。」

「は?」

「昔、恩田未知子が、あの男とつきあってるって、梅から聞いた時、俺も負けずに“彼女ができた”って…」

「あー?そんな話したっけかな?」

「でも、すぐに別れてさ」

「ん、」

「でも、それ言うのが悔しくて…」

「おいおい。そんなことでかよ!」

「ホントだよな。」

「…おまえらしい。」

「え?」

「おまえって、あんまり自分のこと人に話さなかったじゃん。アクションも起さないし。だから俺、何とかしてやりたくて、つい、お節介しちゃってさぁ!」

「俺、そんなだった?」

「だけど、やる時はやるって…つーか、できるって感じ!冷静に、しっかりと観察してから行動するって言うか…」

「間違えたり恥かいたりするのが嫌だったんだ。」

「今でもか?」

「どうかな?」

「あんま気ぃ張りすぎは良くないぞ!ちょっとおバカなくらいが楽だぜ!」

「あー、バカな振りしてんだ?」

「そーゆーこと。その方がモテたりもすんだよ!カッコイイ奴は近寄りがたいから!」

「あれれ?もしや彼女がいるとか?」

「そりゃあ、ねぇ。」

「勉強になります!」

「なんなら、こっち来る時、紹介するよ。」

「もしかして、俺、知ってる子?」