「えー、俺も入れてよ!三人でやろーぜ!」

「…どーでもイイけど恐くねーの?音楽室だぜ。」

「女ばっかの中に居る方が、よっぽどコエ〜よ!」

「あはは、確かに!」

「…トクってさ、彼女とかいるの?」

「え?なに突然?」

「なんかクールだからさ。」

「いねーよ、彼女なんて。」

「でも、モテただろ?」

「ヲタクにみられてたから、俺。」

「あははは、そんな英語部の隅に居たからだよぉ!もっとハジけて自分アピらないと〜!」



徳幸は女が苦手だった。

でも、苦手と思っているのは、
それだけ意識してるということなのかもしれない。


転校先の小学校で、好きな子はできなかったが、
中学で好きになった子には、あっさりとフラれ、
そのうち、
学年で人気のある子に告白されて、つき合うことになったのだが、
「なんか違う」と言われ、別れることになった。


東京に転校するとき手紙をくれた子は、
しばらくして、新しい恋の報告をしてくるし…

おかげで徳幸は、女不振症になっていた。


今も教室で、ドラマやイケメン話に盛り上がる、耳ざわりな女子の会話を、

(おまえらの批判なんか、どーだってイイよ!頼むから少し眠らせてくれ!)

と、言いたいところを、グッと抑えているのだ。


そして思う…


(彼氏が死ぬってどんな感じなんだろう?……こうやって、皆とキャッキャできてるのかな?)