「あ。」


メンバーの名前が呼ばれる中、
それは
次第に大きくなり、

舞台裏のメンバーの耳にも届いていた。


「これ…」


そう、
碧人達がコピーしてる、
…あの唄だった。


夏のライブの時、
知らなくて、悔しい思いをした者が、
それぞれ、
今日のために歌詞を覚えて

前から知っていた者と一緒に

メンバーのためにも
自分達のためにも

今、こうして、
伴奏も無しに、
歌ってくれているのだった。



その舞台裏で、
その光景に感激していたのは、
メンバーだけではなかった。


顧問が、
次のブラスバンドの準備を、
少し、待つように指示を出したのだ。


それを聞いた部員は、
鳥肌が立ったと言う。


その時…


「あたし、戻りたくなっちゃったなぁ…」


ふと、波多野はつぶやいた。