徳幸が加わることで、
ギターのラインを原曲に戻し、
さらに、自分達なりのアレンジを考えたりと、
徳幸は、碧人達と一緒に居ることが多くなっていった。


その日も、約束をしたワケでもなく、小出家に顔を出していた徳幸は、ふと気付いたことを口にする。


「あれ?コービーは?」

「今日は来ねーなぁ。」

「そーなの?」

「今、碧人と喧嘩してっから。」

碧人が居るのにもかかわらず、光一は平気で言った。


「なんで?」

「音楽の方向性の違い。」

「なんだそれ?大物バンドかよ。」

「あのバカ、バラードやらねーかとか言い出すからよぉ。」

「…ふーん。」

「あ、心配しないで大丈夫!いつものことだから!」

「…波多野は?」

「ブラバンだろ。」

「光一、おまえはここに居ていーの?」

「今日は、ジャズじゃない方の練習なのだ〜!」

「大変なんだなぁ、あいつ。」

「ま、ソレがやりたくて、波多野はこの学校を選んだから、しょうがない!」

「へえー。」

「本当ならあいつ、もっと良いトコにイケる頭脳持ってんのによぉ。なあ、碧人!」

「んぁ?あぁ。」

「もったいねーよな。」

「…おまえらって、ホント相手のコトなんでも知ってんのなぁ。そーゆーのって、やっぱ、(俺も一緒には居るけど、ちょっと空気が違う感じがして…)なんか羨ましいよ!」