なんでも、
友達に聞かれて、彼氏も、見栄を張ってしまったらしい。


それもまた、意外で、可愛い一面なのかもしれないが、
やはり、
波多野にとっては、
まったくもって迷惑な嘘で、

ソレと比べたら、
碧人の気づかいが、
なによりも、嬉しく感じられたに違いない。


もしかして、
ただ、彼を殴ったと耳にした時、
すでに、嬉しかったのでは?


こうして、
碧人の気持ちがハッキリしたことで、
徳幸の気持ちも、
完全に吹っ切れたのだった。


めでたしめでたし…

とは、いかぬもの!


碧人の罰は、意外に重く、

生徒達のアイドルは、
学校名を背負って戦った勇士に、適うワケが無く、

碧人が所属する部活に対し、
しばらくの活動を禁止した。


コレを理由に
文化祭での演目枠を、無くそうという魂胆が見え見えで、

この機会に、
軽音部を廃部にさせるつもりなのではないかと、
不安な噂が広がりはじめた。


慌てて、部会を開いた碧人達は、
とにかく、
今回のことを深く詫びると、
次に、
文化祭公演決行の、署名活動をすることを提案し、
一日も早く行動に移した。


他のバンド部員はもちろん、
波多野や律子の呼び掛けで、
吹奏学部の皆まで、手伝ってくれていた。