嫉妬だ!


そう、徳幸は、
タカにも、野球部の男にも、
嫉妬をしていたのだ。


転校が多く、
ただでさえ、人との関わりに、気を使ってしまう徳幸にとって、
異性との交流も、やはり多いワケが無く、
当然、恋も奥手だった。


そんなこと言っていたら、
いつまでたっても、恋は実らず、
まわりの女性は、皆…


ソレは、
この歳頃の男子にとって、
気にせずにはいられない問題で、

あの茜を
無言のまま歩かせ、
気まずいまま、家へと帰してしまった。

あの日以来、

茜のことが気になっていることは確かだ。


いつのまにか、また、
小出家に出入りしている神戸から、
練習の誘いをもらう度、
理由をつけては断る徳幸。


本当の理由は、
茜に会わせる顔がないから。


今回の原因が、すべて自分にあることは分かっていた。


まず、はずみで花火に誘ったのは自分だし、
知り合う前の出来事に、嫉妬する自分の小ささ、
そして、
煮え切らない、自分の気持ち。


結局、今、自分が、
茜と波多野
どっちが好きなのか、
分からなくなっているのだ。


マジメな徳幸には、
許されないことだった。