しまいには、

「邪魔だから出てけよ。」

「!」


驚いた神戸が、いつもの調子で言う。

「どーしたんだよ!飯食うんだから良いじゃん!」

「いいから!」


あまり、普段は見せない態度に、茜も静かに退散した。


「喧嘩?」


率直に聞く徳幸に、
碧人も率直に言い返した。


「あのさトク!その気がないなら、茜のこと、ほっといてくんねぇ!」

「!」

「わかんねーけど、あいつ、マジで惚れてたら、どーするつもりだよ!」

「だけど、」

「あんなんでも妹だから、悲しむとこ、もう見たくねーんだ。」

「…ごめん。軽率だったかも。」

「…女泣かすの、得意かよ。」

「…あぁ?」


徳幸は、何のことか、すぐに分かった。


ライブの時、
波多野が泣いていたことに気づいてたことも、

あの熱唱には、怒りも込められていたんだと言うことも判明した。


碧人は、自分が唄っているのにもかかわらず、

その曲を選んだ徳幸の気持ちに、
波多野が泣いていたとしか考えられなかったのだ。


「俺、そんな風に思われてたんだ…じゃあ、言わせてもらうよ!波多野を泣かせたんは、おまえの方だろーがぁ!」