僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2

茜が弾く、そのピアノの旋律に合わせ、

「それは王道でしょー!」

と、徳幸もギターで重ねてみせる。


久しぶりの曲を、
初めて合わせた割りには、
息もピッタリで、

なかなか戻ってこない、トクを呼びに来た碧人は、

廊下にまで漏れてくる、
二人の奏でるメロディに微笑みながら、

そのまま、防音室へと戻って行った。



人数分の飲み物を手に、戻ってきた徳幸に、

「トイレ行ってたのか?」

と、碧人は聞いた。


「あ、あぁ。」

「手、よ〜く洗っただろうな?」

「あ!」

「ソレ飲めねーじゃんか!」

「ウソだよ!洗った洗った!」


碧人の気転のおかげで、遅い戻りを、変に勘ぐられずに済んだ。


「で、“Β”の曲の、どれにするかって話だったんだけどさ、」


碧人が話してる途中、

「あのさぁ、俺、あの曲が好きなんだよなぁ…」


徳幸が、珍しく主張した。


「いいんじゃん!やってみようぜ!」


そんな徳幸を讃え、
まるで記念にでもするように、皆が賛成した。


こうして、一曲はすんなりと決まり、
すでに買っておいたスコアブックに、皆で目を通すのだった。