僕らがめぐり逢うために。〜幼なじみの恋〜Ver.2

ふと目についたピアノが、開いたままになっているのに気付き、


「練習中だったの?」

「うん。」

「やっぱ、毎日しなきゃいけないんだ?」

「まぁね。好きだから良いんだけど、気分じゃない時は全然ダメ!」

「…ちょっと、弾いてみてもいい?」

「弾けるの?!」

「昔、母親に教えて貰ったことがある。」


と、徳幸はピアノの長椅子に座り、
つっかえながら、ニューヨークのミュージシャンの曲を弾いてみる。


「あはは、それねぇ!知ってる!ママが昔よく聴いてた!」


そう言って、徳幸の隣に立つと、茜は正確に続きを弾きはじめた。


「弾いたことあんの?」

「ないよ!でも、だいたい分かる!」

「スゲーな、やっぱ!完璧な耳コピーだ!」

「完璧じゃないよぉ!」

「ギターだったらさぁ、俺だって!」


強がって椅子を譲り、立ち上がった徳幸に、

「そっちにフォークギターない?」

と、視線を流す茜。


「あ、あった。誰の?」

「家の!何が弾ける?」

「フォークならぁ…やっぱコレっしょ!」


徳幸が弾く曲に対し、

「あ〜。でもその曲、ピアノじゃねぇ…あ!これは?」


茜は、別の曲を弾いてみせた。