「今ね、夏休みに入る前に、軽音部のライブが出来ないか検討してるの!」

「は?」


話題が反れ過ぎていて、
言われたことが理解できず、聞き返した。


「バンドの数も増えたことだし、もしかしたら、文化祭では、全バンドの演奏は、時間的に無理かもしれないんだって!」

「へー。」

「まだ決定じゃないから、あんまり言わないでほしいんだけど…トクちゃんにはねぇ!」

「それ、波多野が持ち寄った意見なの?」

「うん。せっかく副部長になれたことだし…このくらい、元メンバーとして何か力になれたらと思ってね。」

「“元”って…なんか他に言い方あんだろ?」

「なんかアルかなぁ?」

「なぁ…ムリしてない?」

「…ふふ、クールに見えて優しいよね!このぉ!罪な男だなぁ!」

「チャカすな!それとも、はぐらかしてんの?…自分の気持ち。」

「!」

「まだ、間に合うんじゃね?」

「…」

「これ、俺の…オレらの気持ち」


ちょうど予鈴がなり、
各クラスへと戻る生徒にまぎれ、徳幸も教室に戻っていった。

神戸に見られないように…



しばらくすると、
夏休み前日の、
軽音部体育館ライブ決定
の告知が、掲示板に張り出された。


ずっと黙っていた徳幸は、
ソレを見て、ため息を吐いた。