徳幸が覗いた教室に、神戸の姿が見当たらない。


「コービー?」


様子に気付いた波多野が近寄って来た。


「んあ。居ないみたいだな。」

「あっちのクラスじゃない。」


碧人のクラスの方を指差す波多野。


そう、彼らは、なにも喧嘩をしたわけではない。


だから普段は、
“他の同級生とも、何ら変わらない”
風な態度で接している。


そこが、今までとは違うとこなのだが…


そして今も、

まるで、神戸のことを探している様に見せながら、

実は、神戸が居ないかを確認していると言うのが正解で、

そうやって、こそこそと様子を伺いながら、

最初から、波多野に用事があった徳幸だった。


そう、例のことで…


「たまには、碧人ん家、顔出せばいいのに。」


まずは、遠回しに問いかける。


「うーん…」

「…彼氏に気ぃ使ってんのか?」

「違うよぉ!なんだかんだ忙しいんだぁ。」

「ふーん。」


なんとなく重い空気が流れた。


(言わねーと!なんか言わねーと!)

と、その時だった。