波多野の声に、皆が黙り注目した。


「あたしが碧人に、ブラバンに専念したいって相談したから…」


皆、黙り込み箸を止めていた。


律子でさえ、初めて知ったという表情で、

「香織はマジメだから、副部長なんて受けちゃうんだもん!」

バツが悪そうだ。

「そーすれば、軽音部のことに口を挟めると思って…」


そんな、波多野と律子とのやりとりに、

「…光一は?」

と、神戸がたずねる。


「俺?俺は大丈夫!タフだから!」


そこに、

「イイじゃん!」

と、皿の上の具を、箸で転がしながら碧人が言った。


「ジャンルを変えるって言っただけで、別のキーボードを入れるってコトじゃねーんだし。」


その言葉のニュアンスを、
なんとなく、皆、理解したようで、
その場は丸く納まった…

と、思えた春、

徳幸の高校生活の、二年目が幕を開けた。


神戸が気にしていたクラス替えは、

徳幸と光一が同じクラスになり、
神戸は隣のクラスで、波多野と。
そして、
碧人は律子と一緒だった。


「なんか、三人、見事にバラけさせられたなぁ。」

「な。」