まず、グランドに足をのばした。


「テニス部に知り合いは?」

「二つ下でしょ?知らないなぁ。」


徳幸は、梅原の先輩の話を思い出していた。


“人間は、おまえら以外にも居るんだぞ!”


その半分より向こうで、
野球部が素振りと、軽くキャッチボールをしてるのが見える。


未知子はまわりをキョロキョロしながら、
グランドに面した多目的室を覗いた。


「恩田先輩!」


揃ってストレッチをしていた中の、数人が駆け寄ってきた。


「お久しぶりです!」

「元気?」

「はい!先輩は陸上続けてるんですか?」

「それがね、バスケに戻ったの。」

「そうなんですかぁ?」

「だから、あのラインは…中学生活の思い出なの。」

「あ…」

「あ、先生は来てる?」

「あ、職員室だと思います。」

「ありがと。春の大会は?」

「はい、出ます。」

「頑張って!」

「はい!」


歩きだした未知子は、思い出したように振り返り、

「今日、体育館は?」

と、たずねた。

「えーっと、バトミントンです!」

「ありがとうっ。」