時計を見ると七時をまわっていた。


神戸も光一も、まだ残るようだったが、

皆と関わって、まだ初日の徳幸は、
波多野が帰るそのタイミングに合わせ、
今日のところは、これで退散することにした。



「トクちゃん。」

「…ん?」

「なんでトクちゃん?」


その帰り道、
同じところまで一緒に帰ることになった、波多野が聞いた。


「それは碧人に聞いてくれ。俺が言うと、アイツの人権を傷つけそうだから。」

「読み間違いかぁ。」

「…よくお分かりで。」

「そりゃあね。つきあい長いから!」


男として、夜道を送ると言うほど、波多野の家まで、それほど距離はなく、
どちらかと言うと、
徳幸の方が、ある程度まで送ってもらいたいくらいだった。


「道、わかる?」


夜道は、昼間と景色が変わり、

「分からん!」


恥も意地も捨て、正直に答えるしかない徳幸。


すると波多野は、大きな通りに出るまで、道案内をかってでた。


その道のりも、たいした距離ではないのだが、
気を使い、話題を絶やさない波多野だった。


「転校が多いのって大変でしょ?」

「慣れるもんじゃないな。ただ、あきらめの良い子にはなれたと思う。」