月日が経ち、
徳幸にとって、なんら変わらない日々が流れていった。


碧人は相変わらず、神戸や光一と、バンドしながら騒ぎ合っている。


忙しそうな波多野も、
たまに見かけると、友達と笑い合って楽しそうだ。


メンバー内の真相を知り、
これでやっと、
自分も仲間になれた気がしている徳幸は、

あることに気がついた。


ソレは、久々の全員揃った防音室でのことだった。


知らないフリを心がける徳幸ではあったが、
どうしても、
波多野と碧人に目がいってしまっていた。


“これじゃ気付かないはずだ”と
感心させられるほどの、波多野の態度に比べて、

碧人のほうは、
頻繁に波多野のことを見ているのだ。


(何やってんだよ!そんなに好きなら、意地なんか張ってんなよ!ったく、見てらんねーよ!)


そして徳幸は、ある手段を掲げ、茜とコンタクトをとったのだった。


「で、あたしとトクがつきあいはじめたことに?」

「そーゆーこと。」

「…ナイな!」

「!なんで?」

「タカの時とは状況が違う。トクは兄貴との接点が多すぎるもん!」

「あ…」

「前の爆弾発言で、トクのことは充分利用させてもらったよ!」

「だけど、実際には」

「ありがとう!!」

「…」

「気持ちは凄く嬉しい…うん。」