「やったことナイけど、やろうと思えば出来ないことナイとは」

「ねぇ、いいんじゃない?」

「んー。」

「あなた、名前は?」

「木村です。」

「あのね、今、私達、ジャズバンドにも新しく挑戦してて、ベーシストを探してるの!今は、彼女の友達を借りてるんだけど、その子もバンド組んでてね、忙しいんだって言って」

「あー、先輩!あとはあたしが説明しますよ!皆、待ってますから!」

「あ、じゃあ、お願い!」


波多野という女は、
その先輩を皆の元へと戻し、
徳幸を音楽室から押し出して、自分も一緒に廊下へ出ると、思いっきりドアを閉めた。


「ごめんね、ややこしくなっちゃって。」

「え、ああ。」

「バンドがやりたいんだよね?」

「別に、ココじゃなくても」

「あるの!一年生のバンド!でもね、ここでは練習出来なくても所属しておかないと、文化祭とか学校行事で演奏出来ないんだよね。三年のバンドはヘタクソだから、新入生歓迎会の時はブラバンだけが演奏したらしいけど、所属しとけばチャンスはあるんだって!だからあたしも掛け持ちしてるの!」

「吹奏学とバンド?」

「うん。だから木村君も、あきらめないでメンバー探して入部したほうが良いよ、軽音部!」

「…さっき、ベースがどーのこーのって」

「それなら大丈夫!ほら、ジャズはコントラバスでしょ…なかなか上手くいかなくてね…でも、まったく初めての人よりはマシだから!」

「へー。それも格好いいなぁ。」

「大変なんだよ〜これがまた!」