その頃。
リューシュとシェナが出て行ったはずの扉の前には、何故かそれぞれの旦那様の元に向かった義姉たちが居て、
「……ホントによく出来た旦那様ね」
「一言一言にシュリちゃんへの愛が感じられるわ」
薄く開いた扉の隙間から、堂々と中を拝見している。
弁解するなら、シュリを落ち込ませてしまったことが気がかりだったので、あくまでも様子を見ていたのだ。
決して、あのソツがないショウがどうやってシュリを慰めるのか興味があって覗いてたワケではない。
一件落着した様子をあくまで見届け、二人が安心したように胸をなで下ろしていると、
「リンー。庭の花壇に新しい花が咲いてたよ。一緒に……」
熱を出して運ばれたはずのシューゴが、リンを見付けるなり嬉しそうに駆け寄ってくる。
その光景に思わず、
……子犬だ。
なんて思いながら傍観するアンジュの隣から、
「あっ! 熱があるのに出歩いたりしたらダメじゃないっ!」
怒ったリンがすかさず手を掴み、部屋の方へと連れ戻して行ってしまった。

