『natural source』(naturally番外編)

「そのタクト王子とおまえさんの関係は?」

「……婚約者です」

「えっ……?」



リンが答えた瞬間、部屋は静まり返る。

一介の侍女が王子の婚約者?



「……リン。君は」

「フルム国王の次女、第二姫です」


フルム国の姫……?

フルム国といえば、さっきのウーラ国の周囲にある小国の一つだ。

次々に明かされていく真実に僕の頭の中は大混乱の真っ最中。
リンとの出逢いは僕が成人した二年前。
その間ずっと明るい温かな侍女だったリンは、何だったんだろうか……。



「シューゴ様、顔色が……」


こんな時までリンは僕のことを気遣ってくれるんだね。

確かにさっきから体が重くてダルい……。

やっぱり僕の体は僕の意志を邪魔するのか……。

でも、今はちょうど良いかもしれない。


「ちょっと休むよ。暫く、一人にして」


どんな顔してリンを見ればいいのかわからない。

だから今のリンが、悲しげな顔してたなんて、僕は知る由もなかった。

とにかく今は、静かな空間が欲しかった。