『natural source』(naturally番外編)


やっぱり自分は、ショウの奥さん失格なのではないか……。



それがさっきから頭を掠めては、気分を鬱がせている。


「いや」

「……えっ?」

「迷惑じゃない。シュリがもたらしてくれた幸せだ」



ずっと捨て子だった負い目を感じて、暗殺に手を染めていた自分。

何も持たず、いつ死んでも良いという暗闇の中で生きてきたショウにとって、シュリは穏やかな幸せを与えてくれる光だった。


その光の中にあるのが、何でもない日常。

自分の名前を呼び、惜しげもなく自分を必要と言ってくれる人たちが居る掛け替えのない日常だ。


「ショウっ」


小さく笑う顔を見るなり、シュリは椅子からショウの懐目掛けて飛び付く。



「涼しげな顔して悪戯してたお嬢様の顔はどこにいったんだ?」



すっかり泣き虫になったじゃじゃ馬なお姫様の髪を撫でながら、ショウは小さく囁いた。