勝手に見ていたことをリンに知られるのは嫌だ。
でも、見て見ぬ振り出来る程リンへの想いは軽いものじゃない……。
頭を悩ます僕の耳に、ドアをノックする音が飛び込んだ。
リンが戻ったのかと、思わず身構えてしまう。
「おーい。シューゴ」
「ナッシュ伯父上っ」
ドア越しに聞こえた声で僕は慌ててドアを開いた。
「どうかされましたか?」
「さっき門で、ウーラ国のボンとおまえの侍女が話してたから気になってな」
マーセル国の国交を担っている伯父上。
どうやらさっきの貴族のことも知っているみたいだ。
ウーラ国のことなら勉強したことがある。
水の都と呼ばれる国。
周囲には農作で国を栄えさせている小国がいくつかあり、それらの水源をウーラ国が支配している。
「ボンってことは、ウーラ国の王子?」
「確かそうだったような……」
母上の問いかけに伯父上が眉をひそめて考える。
「おっしゃるとおりでございます」
答えは意外なところから返ってきた。
「リンっ!」
ドアを開けたまま話していた伯父上の後ろで手足を揃えて立つリン。
駆け寄ったリンの表情は見たことがないくらいの無表情だった。
「さっきの方はウーラ国第一王子、タクト様です」
「第一王子……」
でも、見て見ぬ振り出来る程リンへの想いは軽いものじゃない……。
頭を悩ます僕の耳に、ドアをノックする音が飛び込んだ。
リンが戻ったのかと、思わず身構えてしまう。
「おーい。シューゴ」
「ナッシュ伯父上っ」
ドア越しに聞こえた声で僕は慌ててドアを開いた。
「どうかされましたか?」
「さっき門で、ウーラ国のボンとおまえの侍女が話してたから気になってな」
マーセル国の国交を担っている伯父上。
どうやらさっきの貴族のことも知っているみたいだ。
ウーラ国のことなら勉強したことがある。
水の都と呼ばれる国。
周囲には農作で国を栄えさせている小国がいくつかあり、それらの水源をウーラ国が支配している。
「ボンってことは、ウーラ国の王子?」
「確かそうだったような……」
母上の問いかけに伯父上が眉をひそめて考える。
「おっしゃるとおりでございます」
答えは意外なところから返ってきた。
「リンっ!」
ドアを開けたまま話していた伯父上の後ろで手足を揃えて立つリン。
駆け寄ったリンの表情は見たことがないくらいの無表情だった。
「さっきの方はウーラ国第一王子、タクト様です」
「第一王子……」

