「一人で頑張るって言うから任せてみたんだけど……」
「危なすぎるから俺が後ろから見張ってたんだよ。そしたらシュリの頭越すくらいの火柱がイキナリあがったんだ」
指と鼻先を火傷したシュリの手当てをしていたお袋と現場を目撃したゼンの前で、鼻に絆創膏を貼ったシュリがそっぽを向いて座っていた。
これは完全に拗ねているな……。
どうフォローを入れたら良いものか考えあぐねていると、
「シュリ~この焼き魚、骨まで食えるぞ」
「煮付けなのに……」
居間から聞こえる親父の声にますますシュリの機嫌が悪くなってしまった。
そうとは知らず、
「焼き魚美味いぞ~」
「ちょっと!」
焼き魚を連呼する親父をお袋が慌てて止めに向かう。
「それは俺が洗い直しとくからさ、兄貴はシュリの機嫌どうにかしろよ」
背中に隠していた汚れたシーツをこっそり受け取り、ゼンが俺に耳打ちして台所から出ていった。
「ショウ」
「んっ?」
「頑張るから。わたし」
これが最近のシュリの口癖。
うちに嫁いだその日から、とにかくこちらの生活に慣れたくて必死だ。
「……十分頑張ってるだろ。頑張りすぎるな」
その度に躓いて落ち込み、しょぼくれたシュリの頭を撫でるのがすっかり俺の日課になっていた。
顔を上げたシュリの目は少し潤んでいた。
そこに半年前までのような、涼やかな澄まし顔の面影なんて微塵もない。
「先は長い。少しずつでいいから」
「……ショウ!」
懐に飛び込んできたシュリを、俺は笑いながら受け止めて抱き返した。
料理が出来なくても洗濯が出来なくても、俺にこんなにも穏やかな日常をくれる。
こんなことが出来るのは他の誰でもない、ここに居るシュリただ一人だけ。
シュリが傍に居る。
それが何より幸せだ。
腕の中のシュリを抱き締めながら、俺はそれをしっかり噛みしめるのだった。
-終-
「危なすぎるから俺が後ろから見張ってたんだよ。そしたらシュリの頭越すくらいの火柱がイキナリあがったんだ」
指と鼻先を火傷したシュリの手当てをしていたお袋と現場を目撃したゼンの前で、鼻に絆創膏を貼ったシュリがそっぽを向いて座っていた。
これは完全に拗ねているな……。
どうフォローを入れたら良いものか考えあぐねていると、
「シュリ~この焼き魚、骨まで食えるぞ」
「煮付けなのに……」
居間から聞こえる親父の声にますますシュリの機嫌が悪くなってしまった。
そうとは知らず、
「焼き魚美味いぞ~」
「ちょっと!」
焼き魚を連呼する親父をお袋が慌てて止めに向かう。
「それは俺が洗い直しとくからさ、兄貴はシュリの機嫌どうにかしろよ」
背中に隠していた汚れたシーツをこっそり受け取り、ゼンが俺に耳打ちして台所から出ていった。
「ショウ」
「んっ?」
「頑張るから。わたし」
これが最近のシュリの口癖。
うちに嫁いだその日から、とにかくこちらの生活に慣れたくて必死だ。
「……十分頑張ってるだろ。頑張りすぎるな」
その度に躓いて落ち込み、しょぼくれたシュリの頭を撫でるのがすっかり俺の日課になっていた。
顔を上げたシュリの目は少し潤んでいた。
そこに半年前までのような、涼やかな澄まし顔の面影なんて微塵もない。
「先は長い。少しずつでいいから」
「……ショウ!」
懐に飛び込んできたシュリを、俺は笑いながら受け止めて抱き返した。
料理が出来なくても洗濯が出来なくても、俺にこんなにも穏やかな日常をくれる。
こんなことが出来るのは他の誰でもない、ここに居るシュリただ一人だけ。
シュリが傍に居る。
それが何より幸せだ。
腕の中のシュリを抱き締めながら、俺はそれをしっかり噛みしめるのだった。
-終-

