あれから半年後。
結局俺はあの時のユウセイの言葉通り、結婚して暗殺業からも騎士団からも引退した。
俺が結婚を機に実家に帰るなり、
「俺は医者になる!」
と、家を継ぐことを拒否した弟のゼンの代わりに神寺を継ぐことになった。
俺もまた親父と同じように、奪った命に弔いを捧げる日々を送っていた。
「なぁ? だから言ったろ? まぁ、さすがの俺もシュリ様を嫁に貰うとは思わなかったけどなぁ」
嫁の実家の家業を継ぐことになったユウセイも時期を同じくして騎士団を去った。
今じゃこうして暇を見つけては俺の所に来て、飽きもせずに毎回同じことを言ってる。
「にしても、いいなぁ~若い嫁さんは。やることなすこと初々しくて」
こう言ってシュリが干した洗濯物を指差して笑っている。
「……仕方ないだろ。王家のお嬢様だったんだから」
裾を引きずったらしく、洗いたてのシーツの裾には既に砂が付いていた。
俺はそれを竿から取り込みながら、ケラケラ笑うユウセイに言った。
王族出身の人間に家事が出来るわけがない。
それでも毎日お袋を師に奮闘している姿を見ていれば、本人が気付かないうちに直してやりたくもなる。
「まぁ、そのうち上手くなるさ。先は長いんだから」
「……そうだな」
取り込んだシーツに泡だらけになりながら一生懸命これを洗っていたシュリの姿が重なった。
そんな俺を縁側から眺めていたユウセイが、
「良い顔してんな。今のおまえ」
茶化すような子どもっぽい笑顔を浮かべていた。
それが妙に恥ずかしい反面嬉しくもあった。
こんな穏やかな気持ちをもたらしてくれるのは、傍にシュリが居てくれるからだ。
なんて脳内で一人惚気ていた俺に、
「兄貴っっ!! シュリがまた鍋燃やしたぞ!!」
血相を変えたゼンが大慌てで縁側に居た俺を呼びにきた。
穏やかな日常に度々起きる事件発生だ……。
「……すぐ行く」
「はははっ。頑張れよ旦那様」
豪快に笑いながら庭を横切っていくユウセイを視界の隅で見送り、俺はゼンの後ろについて台所に向かった。
結局俺はあの時のユウセイの言葉通り、結婚して暗殺業からも騎士団からも引退した。
俺が結婚を機に実家に帰るなり、
「俺は医者になる!」
と、家を継ぐことを拒否した弟のゼンの代わりに神寺を継ぐことになった。
俺もまた親父と同じように、奪った命に弔いを捧げる日々を送っていた。
「なぁ? だから言ったろ? まぁ、さすがの俺もシュリ様を嫁に貰うとは思わなかったけどなぁ」
嫁の実家の家業を継ぐことになったユウセイも時期を同じくして騎士団を去った。
今じゃこうして暇を見つけては俺の所に来て、飽きもせずに毎回同じことを言ってる。
「にしても、いいなぁ~若い嫁さんは。やることなすこと初々しくて」
こう言ってシュリが干した洗濯物を指差して笑っている。
「……仕方ないだろ。王家のお嬢様だったんだから」
裾を引きずったらしく、洗いたてのシーツの裾には既に砂が付いていた。
俺はそれを竿から取り込みながら、ケラケラ笑うユウセイに言った。
王族出身の人間に家事が出来るわけがない。
それでも毎日お袋を師に奮闘している姿を見ていれば、本人が気付かないうちに直してやりたくもなる。
「まぁ、そのうち上手くなるさ。先は長いんだから」
「……そうだな」
取り込んだシーツに泡だらけになりながら一生懸命これを洗っていたシュリの姿が重なった。
そんな俺を縁側から眺めていたユウセイが、
「良い顔してんな。今のおまえ」
茶化すような子どもっぽい笑顔を浮かべていた。
それが妙に恥ずかしい反面嬉しくもあった。
こんな穏やかな気持ちをもたらしてくれるのは、傍にシュリが居てくれるからだ。
なんて脳内で一人惚気ていた俺に、
「兄貴っっ!! シュリがまた鍋燃やしたぞ!!」
血相を変えたゼンが大慌てで縁側に居た俺を呼びにきた。
穏やかな日常に度々起きる事件発生だ……。
「……すぐ行く」
「はははっ。頑張れよ旦那様」
豪快に笑いながら庭を横切っていくユウセイを視界の隅で見送り、俺はゼンの後ろについて台所に向かった。

