「俺は暗殺者です。この手で何人もの人間を殺してきました。俺の体は穢れきっている。あなたのような方が触れてはいけません」
「だから? それでもわたしはショウに触れたい」
「お嬢様……」
「ショウは……マーセルを守る為に穢れたの?」
目の前の彼女の顔はひどく悲しげで、その綺麗な瞳からは今にも涙が零れ落ちそうになっていた。
いつも涼しげに笑ってた癖に、そんな表情もするんだな……。
妙に冷静に頭の隅でそんなことを思っている自分がいた。
「ねえ。何を以てしてか、わたしには神聖な護り神がついてるんなら……」
「…………」
「わたしの涙は聖なる雫になる?」
こう涙声で呟いて俺の手を取り、彼女は自分の頬へと押し当てた。
頬を伝う涙が温かかった。
この涙が俺の為に流されてると思うと、どうしようもなく美しく見えて仕方ない。
「……お嬢様」
「わたしの言葉は清らかな言霊?」
「仰る通りです」
「じゃあ、わたしの体は神聖なる護り神そのもの?」
彼女の瞳から溢れる涙は絶えることなく、俺の手を取っていた手にも一層力が込められた。
「もちろんです。……深い闇の底にいる俺には目映すぎる程です」
穢れきった俺にあなたは綺麗過ぎる。
こうしてそばに居ることすら、俺には許されざる罪なのかもしれない。
ましてやこの純粋で美しい人に心惹かれるなど、一生をかけても償いきれない程の大罪だ……。

