城中が寝静まった深夜。
「っくっ……っ!!」
暗い自室のベッドの上に俺は勢いよく飛び起きた。
脂汗が額から顎を伝って滴り落ち、握り締めていた拳の上に落ちた。
時々、任務遂行時の悪夢を見てはこうしてうなされて起きる。
実に寝覚めが悪い……。
「……脂汗、すごい。どんな夢見たの?」
「っっ!?」
俺は思わず自分の目を疑った。
何故だか俺のベッドの傍らに彼女がいて、俺の顔を心配そうにのぞき込んでくる。
何故王家の人間が、騎士団の寄宿舎なんかに居るのか……。
恐らくは、今日の宿直であるユウセイが一枚噛んでるんだろう。
アイツに説教したいのは山々だが、今は目の前で俺を見つめる彼女に集中することにする。
「お嬢様っ!!」
柄にもなく声を上げた俺に驚くこともなく、彼女は顔をひきつらせた俺に何の躊躇いもなく手を伸ばそうとしていた。
「ずっとショウの元気が無かったから気になってたの」
事実ここ数日の俺は、まともにお嬢様の顔を見ることが出来ないでいた。
何もかも見透かしたような深い蒼に映るのが怖かった。
何もかも見透かして尚、俺を受け入れようとするその純粋な瞳に甘えてしまいそうで怖かった……。
「……申し訳ございません。すぐお部屋まで……」
「苦しいんでしょ? わたしここにいる」
ベッドから立ち上がろうとした俺の服を引っ張り、彼女は縋るように見つめてこう呟いた。
「……またそんなとんでもないことを」
「とんでもないことじゃない。わたしはここにいたい」
呆れる俺の前に彼女は立ち、またまっすぐに手を伸ばしてくる。
「俺に触れてはいけない」
「どうして?」
思わず手を振り払った俺に、彼女は悲しそうに眉を下げた。

