「彼女の近衛兵より暗殺を選んだ俺を軽蔑するだろうか……」
「いや、泣いて嫌がるだろな。シュリ様は」
「…………」
残念だが俺も珍しくユウセイの意見に賛成だった。
彼女は純粋で根の優しい女性だ。
俺の身を案じて反対する姿が容易に浮かぶ。
「悪戯までしておまえを守ろうとしてるくらいだ」
訪ねてくる貴族を毎度毎度悪戯で追い返しては、自分の名誉も傷付けかねない。
それでも彼女は悪戯を辞めようとしない……。
どうせなら軽蔑して嫌ってくれた方がどれだけ楽だろうか……。
「……おまえが死ぬのを嫌がる人間はいるんだ。家族だろうが他人だろうが関係なく沢山な」
それだけは忘れてくれるなよ。
そう言って俺を見据えるユウセイの言葉が、頭の中を埋め尽くした。
「まぁ、おまえがこうして頭悩ますくらい大事な問題ってことだ。納得するまで悩めよ」
それで出した答えなら俺は何も言わねぇ。
ひらりと手を振ったユウセイの背中に、ふと出会った頃の親父の背中が重なる。
自分以外を守る為に生きる人間の背中。
何も持たない俺はきっと……そんな風にはなれないだろう。
俺の心情とは裏腹に晴れ渡る空を見上げながら、俺はお嬢様に伝えるべき言葉を頭の中に巡らせた。

