時代は繰り返す……。
ちょっと違うか……。
カエルの子はカエル。
こっちの方がしっくりくるな。
とにかく、今の僕はまさにこれ。

いつの時代にも繰り返される運命としか言いようがない……。

僕の父上と母上がそうであったように、僕もまた、身分違いの恋に身を焦がしているのだ……。



僕の父上はマーセル国王家の三男で、国の治安を保持する役職を勤めている。

母上はクロチェ国の貴族出身で、元親衛隊という少し変わった肩書きを持っている。



そんな二人が身分も国境も越えて恋に落ちたのが、ちょうど今の僕くらいのとき。


国交を懸けて母上を迎え入れた父上のような積極性は、残念ながら僕に受け継がれず。

似たところと言えば無駄に高い身長だけ。
細いばっかりで熱の出やすい体も、気が弱いところも、王家の血縁も、彼女を想う僕にはマイナス要素でしかない。


どうせ僕は、彼女を見つめることしか出来ないのに……。




「シェナー。天気良いし散歩行こうぜっ」

「仕事は?」

「…………」

「ナッシュ義兄様が探してたけど……」




ごねる父上が母上に引っ張って連れて行かれる声が遠くに聞こえる。

いつもの昼下がりの光景。