『お待たせいたしました。龍華様、波多様がおいでになりました。』 「通してください。」 透き通った声が女将の問い掛けに丁寧に答えた。 「お待たせいたしました。龍華 琴乃様。私、波多 志紀と申します。お目に掛かれて光栄です。」 「まぁ、そんなにお堅くなさらないで?今日は私たちの相性を見るだけなのですから、お父様達もいないことですので、何かいたしますか?」 「そのことなんですけど、今回のお見合いは私たちの相性が悪かったとして頂けないでしょうか?」