親父はまだぐすぐすやりながら、そんな俺をじっと見つめている。
その手に焦げ付いたナイフみたいのが握られているのに、俺は気がついた。
「なにそれ?」
手を伸ばすと、しっかりと握らせてくれた。
木の鞘の小刃。
鞘にはなんだか細かい彫りがぎっしり入れられている。
真っ黒になっていてなんの図柄なのかはよくわからないけれど。
なでていると、指の腹にあたる硬いものがある。
焦げを爪で削り落とす。
紫色の石がきらっと輝いて表れた。
「アメジストだ」
親父が泣きながらいう。
俺は、へえ、とうなずきながら、こらえきれなかったように、突然、流れ落ちてきた涙に驚いていた。
その自分の涙が、真っ黒な小刀とアメジストをぽつぽつと濡らしていくのに驚いていたんだ。
ただ、ただ、驚いていたんだ。
註:この内容はフィクションであり、文中使われているアイヌ語は
あくまで作者のイメージによるものであり、必ずしもアイヌ語
ひいてはアイヌ文化に直結するものではありません。 了
その手に焦げ付いたナイフみたいのが握られているのに、俺は気がついた。
「なにそれ?」
手を伸ばすと、しっかりと握らせてくれた。
木の鞘の小刃。
鞘にはなんだか細かい彫りがぎっしり入れられている。
真っ黒になっていてなんの図柄なのかはよくわからないけれど。
なでていると、指の腹にあたる硬いものがある。
焦げを爪で削り落とす。
紫色の石がきらっと輝いて表れた。
「アメジストだ」
親父が泣きながらいう。
俺は、へえ、とうなずきながら、こらえきれなかったように、突然、流れ落ちてきた涙に驚いていた。
その自分の涙が、真っ黒な小刀とアメジストをぽつぽつと濡らしていくのに驚いていたんだ。
ただ、ただ、驚いていたんだ。
註:この内容はフィクションであり、文中使われているアイヌ語は
あくまで作者のイメージによるものであり、必ずしもアイヌ語
ひいてはアイヌ文化に直結するものではありません。 了
