銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

「舞ちゃんはお父さん急に本庁にもどるように辞令が出て、それで戻っていったの」

「イヨマンテはおまえが倒れたこと以外は、ちゃんと順当に進んでおわったよ」

「そう、張りぼての白い熊もかわいかったし」

「ちょっと雨降ったけどね」

「でも、楽しかった」

張りぼての白い熊、のところで、俺の頭がきゅっと痛くなった。

おもわず、いて、というと、親父が、泣きそうな顔で、痛いのか? 痛いのか? ってしつこくきいてきて、いや、嘘です、と答えた。

信じられないけれど、俺にはイヨマンテの夜の記憶がないみたいだ。

俺はそれを正直にみんなにいった。

「しょうがないさ。あんな派手に倒れたんだから」

「頭打ってるもの」

「医大で検査はしてもらったんだぜ。問題はとくになかった」

「で、もしかしたら、目がさめたとき記憶がとんでいるかもしれませんって、いってたよね、お医者さん」

「いってた。いってた。そういうことはよくあるって」

「いってたな」

「ほんとうに痛くないのか?」

親父は泣いていた。

頼むよみんな。俺、そんなにやばかったわけ?