銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

「お早う」

目を開けると親父の顔があった。

俺を覗き込んでにたにた笑ってる。

ああ、そうだ。

俺は思い出す。

今日はみんなで海に行く日だ。

台所から、母さんの作るお弁当の匂いがただよってくる。

から揚げと玉子焼きと、ウインナーの匂い。

俺は、早く起きなきゃと体を動かす。

動かない。

にたにた笑ってみている親父に、動かないよ、といってみる。

でも親父はなにもしてくれない。

ただ、馬鹿みたいに、にたにたわらっているだけだ。

俺は母さんを呼ぶ。

母さんはすぐに返事をしてくれる。

でも、やってきてはくれない。

俺はいつまでもベッドの中に横たわったままだ。

親父が笑いながら、何度もいう。

お早う。

お早う。

お早う。