銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

「このメコンはそのうち目が覚める。でも儀式前といまの記憶はないぞ」

正婆はなにか体操でもするかのように、イナウを持った両手をくるくると回しはじめる。

「後遺症とか、変な邪がつくとか、そういうことはない?」

俺は、耳をきられた佐藤や、片腕をなくした薬師の娘のことを思い出してきく。

「さあなあ」

正婆は両手を振り回しながら、同時に足も動かしはじめる。

「ある?」

「あるかもしれんのう。でもまったく失くす方法はある」

首をこきこき動かして、正婆はいう。

「なに?」

俺はすがりつくように聞く。

「そのメコンマコイだ」

「え?」

俺は正婆にむけたままだったメコンマコイを見る。

「それでわしを助けろ、わしに力をさずけろ。それは力のあるものだ」

そういうなり、正婆は突然走り出した。

「それを放ってわしを助けろ、一番の闇に放れよ。だれもかれも、便利だとか、美味いとか、綺麗とかで生まれでた自然を壊して邪を肥やしおって、だから、とうとうこうなるんじゃ」

つぎの瞬間、正婆は飛んでいた。

大きな白い鷲に化身して、どす黒い塊の真ん中につっこんでいった。