銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

俺は誉められても、気を抜かなかった。

「なんで俺が特別なんだ?」

重ねてきいた。メコンノマコイもしまいこんだりはしない。

「おまえの母親が特別だったからだ。母親が特別な場合、子供が特別になることは少なくない」

そこまできいて、俺は、あっと気がついた。

「それは、トゥークとして能力があるってこと?」

正婆は四本目のイナウを引き抜きながら、うなずいた。

強いうなづき方だった。

皺くしゃの小さな顔が、首からとれて落ちるんじゃないかというくらいの勢いがあった。

「おまえの母親は一級のトゥークになれた。なのにそれを断った。だから5年前にイヨマンテのときに弾かれたんだ」

「弾かれた?」

「そうだ。‘ここらへん’の水と空気に弾かれた」

正婆は五本目のいなうを耳の横からひきぬいた。

「わしはもう老いぼれじゃ。5年前に引退を考えた。だが、わしには子供がない。いつか誰かを探さなくてはならいことはわかっていた。だから、ずっと前から目をかけていたおまえの母親に声をかけた」

母さんの超地味な埴輪顔を俺は思い出す。

あの女くらお切れるもんはそうおらん、といっていたじいちゃんの言葉も。

「おまえの母親は即座に断りおった」

「なんで?」

トゥークは民族の憧れだ。

なりたくたってなれるものじゃないことぐらい、俺だって知っている。