銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

イナウを、これでもか、とゆわえつけられた頭は、ちきんと固定できないようで、見ていても気の毒になるくらい、ゆらゆらと苦しそうにゆれている。

ばあちゃん、もうそれ脱いでいいよ、と思わずいってあげたいうらい、弱ってみえる。

「淳ぼう、大きくなったなあ。もう一人前の男だ」

ふらふらしながら、正婆は、それでもようやく口をひらいた。

「一人前の男はいいから、なんで舞なのか教えてくれよ」

俺は舞の頬をメコンノマコイの先で軽くたたいて、いう。

目を覚まさない。暗示がかかってるんだ。

「一人前の男になった、淳が、気に入ってしまった外のメコンだからだ」

前に聞いたのと同じ話だ。

俺は苛立って。正婆に、手のメコンノマコイを向けた。

そんなことをできた自分が驚きだったけれど。

「なんで、俺が気に入ったら、こういう目にあうんだ?」

「おまえが特別だからだ」

正婆は頭のイナウを一つ、よっこらしょっと引っこ抜きながら、いう。

「俺が? 特別?」

「そうだ」

正婆は二つ目のイナウを引き抜いてうなずく。

「老いぼれに、こんなにくくりつけてなあ。情ないやつらじゃ」

三本目を引き抜くとき、正婆はちらっと自分に突きつけられているメコンノマコイをみて、うまくできとるが、とつぶやいた。