銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

「やめろ! その小熊は熊じゃない、人間だ。よく見ろ。女の子だ。神居中学三年二組の白川舞だ!」

とたん、体に電流が走ったような衝撃がきた。

俺はふんばって、両手でかかげたメコンノマコイに気持ちを集中する。

鞘に光るふくろうの目と、研ぎ澄まされた刃の光に意識のすべてをゆだねる。

ほかにひきづれれないように。

二度とくらまらせないように。

俺は目をつむって電流の痛みにじっと耐えた。



どれくらい時間がたったのだろう、桜井が、ほんとだ、とうめくのが聞こえた。

「あれ、白川さんだ」

それとほぼ同時に、周りからいっせいに、あれは小熊じゃない、あれは女の子だ、なぜ女子が籠に入って槍の下にいるのか、との声があがった。

やがてそれはうねりになり、籠に槍をかざしていた男二人は、そそくさと槍を下ろして籠を開け、まだ眠っている舞を外に出さざる得なくなったのだった。

会場は騒然としていた。

自分たちが人殺しに加担するところではなかったのか、と非難する声があちらこちらから上がっていた。

イヨマンテの執行責任者をだせ、正婆に説明させろと、誰もがわめきだした。

異様な喧騒が暗くなり始めた空に炎のように立ち上っていった。

「淳ぼう」

そして、俺は呼ばれた。

祭壇から、正婆が手招きをしている。