銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

木崎のとこで蕎麦を食べてたときから?

山の道でふたり、じゃれあってたときから?

いや、たぶん、はじめっからだ。

舞の家に迎えにいって、白いコートに白い帽子、白いブーツの舞が出てきたところから、やられてたんだ。

正婆の力に。

悲しかった。

猛烈に悔しかった。

守るつもりでメコンノマコイを懸命に作った自分が惨めだった。

だって、もう舞はあそこにいってしまった。

あの籠になかで、あの日と同じ、真っ白な姿で、佐藤と木崎が言ったとおりに、小熊のかわりに送られようとしている。

「清めじゃ」

正婆の声が突然高く天をつく。

「みなみなも感づいている通り、この祭壇のすぐ後ろまで、邪、の闇が迫っておる。これを払い清めるためには、神の宿る小熊様が必要じゃ。動物愛護云々などの狭い思案で、送るふり、などというこはもうできん。イヨマンテには小熊の血が不可欠。今宵は運よくやってきてくれたこの白い神宿る小熊に感謝の詞をささげ、丁重に神の国に送り返したいと思う」

会場全体から、うなるような歓声があがった。

誰もが口々に、可愛い小熊さまだ、白い小熊とは縁起がいい、よく肥えて送りどきだ、などといっている。

信じられなかった。

なに見てんだよ。あれは舞だろ。役場に一年の任期できた白川さんの娘だろう。神居中学三年二組の白川舞だろう。