「シッコロ・カムイ。イレス・カムイ。ワッカウシ・カムイ」
正婆の、祭壇に供える詞は延々と続いている。
けれどもあいかわらず、参加者の私語は続いている。
中にはまともに祭壇のほうを見ていないものまでいる。
俺はさすがに正婆がかわいそうになってきた。
いつもより長い間、身を清めるために山の置くに籠もり、イヨマンテのために準備してきた正婆。
それを小熊がいないだけで、こんなふうに軽んじるのは理にかなっていないように思えた。
さっきからずっと私語をやめない斜め後ろの親父連中を、ぶん殴ってやろうかと思い始めたとき、祭壇にお土産をのせた籠があがってきた。
そうだ、イヨマンテは、正婆の祝詞にはじまって、小熊の登場、それから小熊の神が神の国へ持って帰るお土産の登場とつづき、最後に小熊をヒグマ家系の者が槍で殺して送り、正婆が送別の詞を唱えて終了する、という順序なんだ。
小熊がいないせいか、みんな、せめて籠のお土産でも見ようと私語をやめて祭壇に注目する。
お土産はだいたいはお酒、鮭、米、野菜、砂糖などで、たまに、お菓子やジュースがそれに加わるという程度のものだ。
どうせ今回もそこらへんだろうとタカをくくっていた俺は、籠の中にうずくまる白い塊をみて息がとまりそうになった。
舞だ。
イナウで全身をくまなく飾られて、顔や髪にも白い塗料を塗りつけられているけれど、それは間違いなく、舞だった。
ー白い小熊だー
どこかで誰かが嬉しそうに叫ぶ。
白い小熊、白い小熊。
前の席の小学生たちが歓声の声をあげる。
正婆の、祭壇に供える詞は延々と続いている。
けれどもあいかわらず、参加者の私語は続いている。
中にはまともに祭壇のほうを見ていないものまでいる。
俺はさすがに正婆がかわいそうになってきた。
いつもより長い間、身を清めるために山の置くに籠もり、イヨマンテのために準備してきた正婆。
それを小熊がいないだけで、こんなふうに軽んじるのは理にかなっていないように思えた。
さっきからずっと私語をやめない斜め後ろの親父連中を、ぶん殴ってやろうかと思い始めたとき、祭壇にお土産をのせた籠があがってきた。
そうだ、イヨマンテは、正婆の祝詞にはじまって、小熊の登場、それから小熊の神が神の国へ持って帰るお土産の登場とつづき、最後に小熊をヒグマ家系の者が槍で殺して送り、正婆が送別の詞を唱えて終了する、という順序なんだ。
小熊がいないせいか、みんな、せめて籠のお土産でも見ようと私語をやめて祭壇に注目する。
お土産はだいたいはお酒、鮭、米、野菜、砂糖などで、たまに、お菓子やジュースがそれに加わるという程度のものだ。
どうせ今回もそこらへんだろうとタカをくくっていた俺は、籠の中にうずくまる白い塊をみて息がとまりそうになった。
舞だ。
イナウで全身をくまなく飾られて、顔や髪にも白い塗料を塗りつけられているけれど、それは間違いなく、舞だった。
ー白い小熊だー
どこかで誰かが嬉しそうに叫ぶ。
白い小熊、白い小熊。
前の席の小学生たちが歓声の声をあげる。
