銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

イヨマンテの会場にユーカラは吹いてこない。

必要ないからだ。

この後におよんでユーカラが教えることなど、なにもないからだ。

オプニカのときと同じように。

俺はしかたなく、ポケットのメコンノマコイをぎしぎし握り締める。

でも、握り締めすぎていることにはっと気がついて、慌てて手を離した。

あんまり握り締めるなよ、せっかくはめ込んだ石が落ちてしまうかもしれないからな。

今朝、家を出るときに親父に注意されたのを思い出したんだ。

メコンノマコイは一昨日完成した。

親父は血まみれのメコンのマコイにちょっと眉をひそめたが、ま、焼けばいい色になるだろう、と大目にみてくれた。

それよりも、彫りが見事だと、こっちが照れてしまうくらい何度も誉めてくれた。

腕がしびれるほとかけたサンドペーパーのおかげで、雪の降る背景も思っていた以上にうまくできた。

ほんとうにサンドペーパーはすごい。

親父がやってくれた、焼き、で、メコンノマコイは焦げた茶色の美しい色になり、刃をつけた姿は自分でもほれぼれするくらいの出来になった。

そして最後に薬師のくれたオニキスとアメジストをふくろうの目にはめ込んだんだ。

慎重に慎重をきして、はめこんだんだ。

命を持ったメコンノマコイ。

親父は最大級の賛辞でもって俺をなでまわしてくれた。

メコンノマコイ、舞に贈る、俺の気持ち。