銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

そうやってどのくらい待っていただろう。

俺は、桜井が、あ、大人関係が入ってきた、とか、あ、祭壇の後ろのほうでスタッフ準備してるね、とか、雨降ってきたらどうしよう、生徒みんなに傘なんて配ってくれないよね、なんていうのをぼんやりと聞いていた。

でも、コートのポケットに入れてきたメコンノマコイだけはしっかり右手で握り締めていた。

祭壇後ろの真っ黒なやつが、ふっと膨れたり、さっと萎んだりするたべに、いっそうに力をこめて握り直した。

やがて、周りのざわめきが自然と静まったころ、マイクを通さない、人間の肉声が祭壇後ろから会場いっぱいに響き渡った。

「インカライコシ・ンニヌプ。 イヌイコシ・ンニンプ」

正婆の声だ。

会場は一瞬にして水をうったような静けさになり、その中で、正婆の声はよりいっそう高く高くひろがっていく。

「インカライコシ・ンニヌプ。 イヌイコシ・ンニンプ」

手をあわせていっしょに唱えはじめる人もいる。

 見えない宝。 聞いた宝。

 これからおまえたちの見るもの、聞くもの、まさにこれらよ。

 見えない宝。聞いた宝。

 黄金も宝石も、これらに比べれば、塵どうぜんよ。

 見えない宝。聞いた宝。

 身をただし、眦をけっし、耳をそばだてて、よく知るよう。

 それが、おまえたちの未来の貴重な糧になる。

 見えない宝。聞いた宝。

「インカライコシ・ンニヌプ。 イニコシ・ンニヌプ」