銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

行進は、30分も続いたんだろうか?

案内人が5分ごとに、もうすぐです、もうすぐです、というので、その度に、後列にむかっていちいち、もうすぐだ、もうすぐだ、と伝えるのに忙しくしていたら、たどり着いていた、という感じだった。

そこは俺が予想していた通り、山の背だった。

俺と親父はメコンノマコイの木を探しに入ったあたりに、そう遠くはない場所だった。

断崖絶壁とまではいかないけれど、そこそこ傾斜のある斜面が儀式の会場に造りかえられていた。

広範囲にわたって伐採された草木、腰かけと階段の二つの要素をもつよう段々にうめこまれた板、

それらの板は扇状に並べられていて、扇の下の部分の儀式用の祭壇が設置されている。

「これって、ローマのコロッシアムみたいだね」

桜井が言うとおり、全体はその形状だ。

祭壇近くにはすでに幼稚園と小学校の生徒が着席していて、案内人は、俺たちにも、前につめて早く着席するようにとうながした。

俺は、執行部と各クラスの委員長に指示をだして、すべての生徒が祭壇をきちんと見えることができるような席に座らせた。

山の端の集合場所ではまだ余裕があって騒いでいた生徒たちも、さすがにコロッシアムと祭壇を目の当たりにして厳粛な気持ちになったらしく、集団行動は信じられないくらい迅速に完了した。

「あれ、なに?」

きちんとした列を成して着席した全校生徒を、ほっとして見渡していると、すぐ横で、緊急用のホッカイロを用意していた桜井が、祭壇の後方を指さした。

俺は、はじめ、雲だと思った。

山ではいたるところに雲がある。

川の水と外の空気の温度差が大きくなると、簡単に発生するんだ。