銀のしずくふるふる 金のしずくふるふる

イヨマンテの会場はぎりぎりまで教えてもらえない。

つまり生徒が学校を出て、山の端にたどりついたときに、はじめて、案内人が降りてきて連れていってくれるんだ。

それも、最初に、どこそこに行きます、とはいってくれない。

生徒たちはただ前をもくもくといく、案内人についていくだけなんだ。

案内人は何人かいて、それぞれが、神居幼稚園担当、神居小学校担当、神居中学校担当、そして各町からやってくる住民担当、外からの見学者担当に分かれている。

「今回のって、外からの見学者いるんですか?」

山の端の集合場所で、道に溢れ、山近くまではみ出し、なかなか整列の難しい状態にある全校生徒をなんとか静粛にさせて、数分たったろころで、案内人があらわれた。

もちろん顔見知りの大人だけれど、イヨマンテのための正装をして頭には藁の冠をのせているので、一瞬緊張してしまう。

それでも、では、こちらへ、と先導されていく道すがら、勇気を出して俺はそう聞いてみた。

「いるという話は聞いてないから、いないんじゃないか」

案内人は、俺たちが普段通るのとはまったく違う道をどんどんと進みながら答えてくれる。

ほんとうに知らない道だった。

たぶん、新しく作ったんだ、イヨマンテのために。

まだ、草を刈り取ったときの、新鮮な匂いの残る道を、案内人が歩き、俺たち執行部が歩き、全校生徒が歩いていく。

最後部には旗をもった田口と山中がいて、なにかあったときは旗で連絡をとれるようにしてある。

先生やPTAの大人たちはまた別な時間にあがっていくはずだった。

年若いものから参列する仕来りなんだ。

俺はまだそこかしこに草のとびでている道を、幼稚園の子供たちはさぞ苦労して上がったんじゃないかと、ちょっと心配した。