「父上!そうです。私の操をこのいくさに賭けました。もし私が負ければこの場で一物を切り落とし、内藤様に女として抱かれます!」

 このあられもない言葉に居合わせた姉たちと女中はきゃーと嬌声を上げる。

 姉の香(かほり)が言った。
「静音!よう言うた。こんな男に負ける様では女になるしかないな!修理殿にはやはり見合わなかったのじゃ」
「香!・・・何と言うことを!」
 儀太夫が悲痛な声を上げた。

 静音は修理の名を聞き、姉を見るとさらに怒りを増して内藤を見た。
 おのれ!修理!俺を捨てた憎き奴!
「内藤様!お覚悟!」
「静音!ちょこざいな!覚悟はお前じゃ!後から負けて良かったと思わせてやるぞ!」
 内藤が動く足を上げて白砂を静音の顔に掛けた。思わず目を庇う。

「たりゃーっ!」
 内藤が静音に襲いかかり、懐の襟を右手で手繰り身体を左に沈めた。内藤の左手は静音の右足の太股に掛かる。内藤は体重をさらに左に掛けて、静音の右足を抱え背中からひっくり返そうとした!
 ところが静音は逆らわず身体を丸めた。
「!」
 静音の右足は内藤の左脇に抱え込まれている。そして静音の左足が内藤の股を掬い上げた。内藤は静音の足の甲が自分のふぐりの後ろをふわりと押さえるのを感じた。
「むっ!」
 丸くなった静音の落ちる身体から身を離そうとしたが、内藤の右腕はしっかりと静音に押さえられていた。
「うわーっ!」
 股を掬われ静音の回転に巻かれて内藤の身体は宙に飛んだ。