あの夜の修理との営みの場面が静音の頭をよぎる。

 男の子なのに修理を受け入れた時、歓喜の音(ね)を上げた。自分の体液が修理の雄の徴(しるし)を淫らに包み、それが滑り突き入れられるたびに愛しき人と一体となった幸せを味わった。あの夜が永遠に続けばよいと思った・・・

 独り目覚めた時、修理を必死に捜した。
 修理の残した文を読み、破り裂いた。目の前にあった不動尊のお札を握って外に走り出た。そして泣き崩れた。
 何故?何故、俺を置いていった!邪魔だったのか!全てを上げたのに!
 帰ってない静音を探して兄の惣一郎が来て、放心している静音を見つけた。小袖に身をくるみ、髪を解いて涙を流す静音はまるで女の様に妖艶であった。
 それから静音は部屋に籠もり、食事もしばらく取らなかった。儀太夫や兄姉が必死に労り世話を焼いた。
 静音はそんな自分が情けなくなった。そして静音の一本気は決して内に沈む性向ではなかった。
 怒りが増してきた。