「な・・・なんじゃ!静音!何のつもりだ!」
 静音は抜かれた刃を鬼頭の股を刺す様に付けた。鬼頭は目を剥いて後退りしたが静音は袴の股をぶすりと刺してそれを制した。

「鬼頭様。今、裕之助達はどこにいる!」
「し・・・知らん!その様なこと・・・」
「もうおなごも、俺の様な男の子も抱けぬ身体にするが良いか?」
 燃え上がる提灯の炎に映える静音の目は据わっていた。

 修理を斬り殺そうと談合した時の、静音の迫力を思い出した。こやつら、衆道は気狂いだ!ただ、快楽を貪れば良いのに、下らぬ契りなどに命を掛けおって!
 鬼頭は命の危険を感じた。
「く・・・百済西大寺じゃ・・・そこにおる・・・」
「伊那作兵衛もか!」
「ああ・・・奴もいる」
「奴らはどこへ行くつもりじゃ!」
「安芸の国に渡部の遠戚がいる。そこに行って伊那に道場でもやらせて暮らすのじゃ」
 静音は刀を引き抜くと、刀の峰を返して鬼頭の首音を打った。