「でもま、一緒にいたってだけで彼氏って決まったわけじゃないじゃん?」
そうやって言う大和の声がなんだか遠く感じる。
「梨斗っ そのっ
噂だけだと思うし?
気にすんなっ!」
「そーだよ!」
やっぱりオレが顔に出るからか、大和も廉もオレを励まそうとしてくれる。
でも彼氏じゃなくてなんなんだよ……。
「きょ、兄妹かもしんねーじゃん?
梨斗と梨季みたいなさっ」
「…年齢が上がるにつれて梨季にはドンドン嫌われてますよ…(遠い目)
つい最近は
『お兄ちゃんの部屋臭い!
ちゃんと掃除してる!?
お兄ちゃんと隣の部屋なんてウザイだけだし!』
なんて言われる始末だし……(泣)」
「部屋掃除してないのは梨斗のせいだろ」
「臭いなら消臭剤くらいおけよ」
「ぅ゛…ぐ…ぅ……」
「わぁーっ! 梨斗泣くな!!
泣くなぁっ」
男なのに泣けてくるとか本当情けない。
でも、情けなくても感情のコントロールが上手く出来ないくらいに、美羽が好きになってんだ。