「梨斗(リト)ー」
いつの間にかオレのクラスにいた美羽がオレの後ろに立っている。
あ、言ってなかったけどオレは佐野梨斗な。
とても男の名前とは思えねぇよなぁ。
なんかこう……
もっとカッコイイ名前がよかったのに、
オレにつけられたのは女みたいな発音に、女みたいな漢字。
これでどれだけ小学生の頃イジられたことかっ!(泣)
でもま、仲いいヤツ以外は基本みんな苗字で呼んでくれてたけどさ。
それに美羽に呼ばれるなら名前でもいっかなぁって思ったんだ。
「珍しーじゃん。
うちのクラスくんの」
「そ? ねぇ梨花いないの?」
「梨花ちゃん?
今日休みだけど」
「え。 あの万年元気娘が?
インフルエンザなんて1回もかかったことなくて、
熱が40℃あっても学校にくるようなバカが?」
「言い過ぎだろ。
しかも彼氏の前で」
あまりにも真剣な顔で(しかも大和の前で)そんなこと言うから思わずツッコミをいれる。
彼氏って単語を聞いて美羽は大和の方へ向く。
「アンタが梨花の彼氏なの?」
そう聞いて、上から下まで大和をジロジロ見る。