「純情ごっこもそこまでね」
いきなり聞いたことの無い声がして、声がした方向を見ると、Dearの制服を着た男の子が眉間に皺を寄せて腕を組み、仁王立ちをしていた。
「和樹…///;;」
幸輔は苦笑いをして、あたしの頭から掌を離した。
「時間。」
「わかってる。」
幸輔は髪の毛をクシャクシャと掻いて大きなため息をした。
「じゃぁバイト終わるの…7時くらいだと思うから、9時ごろに電話するね?」
和樹(?)くんに見えないように、あたしの方向を見てニッコリと笑った。
「うんっ」
あたしはそんな幸輔に笑顔を見せた。
心の中では、これからのことを考えていた。
家に、将くんがいるんなら幸輔のこと、相談しよう。
きっとあたし1人では逃げてしまうから…。
あたしは、そのことと、幸輔からの電話のことを考えるのに夢中だった。
あたしの頭に触れる前に、
幸輔はあたしに見えないように拳を作っていたことを、
あたしは知らなかった。
幸輔には、我慢ばかりさせてることに気が付いたのはまだまだ後の事。



