前後左右に壁のないオープンなエレベーターのような昇降機に乗り込みスイッチを押す。

すると地上のささやかな庭の一部が四角く1メートルほと陥没し、ついで左右に開いた。

そこから華の載った昇降台が上がってきた。

華は『現実的』な選択のつもりだったが、その眺めは余りに『非現実的』過ぎた。

この出入り口は、モロにドクターの趣味によるシロモノなのだが、華にとっても違和感のないものだ。

しかし庭にある秘密のハッチから発進する主婦がどこにいる?

という疑問は全く浮かばない。

そんな常識はとっくに麻痺しているからだ。

でなきゃ自称マッドサイエンティストの嫁などつとまらない。

たぶん。